反強磁性

原子を構成する電子は原子核の回りの軌道上を回転運動すると共に,電子自身の軸を

中心として自転する(これをスピンと言う)運動を行っている.磁性の原因となるのは,

主に,このスピンによって生じる磁気モーメントによるものとされている.

この磁気モーメントの大きさが互いに等しく,図1のように,互いに反平行になって

いる.この場合,それぞれ逆向きに磁化している為,全体としては磁化は打ち消しあい,

ゼロになる.

このようにスピンが反平行に配列した為に生ずる磁性を反強磁性(antiferromagnet)

という.これは磁化がゼロという点では常磁性と同じであるが,ミクロな視点で見れば

,スピンが反平行に配列するという規則性がある為に,磁気的性質は常磁性とは異なる.

 

 

図1.反強磁性の磁気モーメントの配列

 

ただ,反強磁性体も熱エネルギーを受けて高温になった場合,磁気モーメントの配列

が乱され,規則性がなくなり,常磁性的挙動を示すようになる.強磁性体の場合,こ

のように磁気モーメントの配列が変わり,強磁性構造から常磁性構造にかわる温度を

キュリー温度という.それに対応して反強磁性体の場合,反強磁性構造から常磁性構

造に変わる温度をネール温度という.これは,反強磁性の物性に優れた研究を行った

ネールを称えてつけられた.