強磁性体において結晶のスピンの振動が波動として結晶内を伝わると考え, 初めてスピン波の観念がブロッホ (Felix Bloch(1905-1983))により導入された. 
弾性波や格子振動の場合は原子間力があるからその振動の波が結晶内を伝わるのであるスピンの場合にはスピン間にもハイゼンベルク Heisenberg)交換相互作用が(スピンとスピン間は働く力のことです)あるので一つのスピンの運転が全スピンに伝わり結晶内を走る波となるのである例として一次元のスピン系を考えましょうスピン系の全スピンが同じ向きになった時のスピン系のエネルギーが基低エネルギーである(最も低いエネルギー状態)(図1a)一つのスピンが逆向きになるとスピン系のエネルギーが増加しスピン系は励起状態になる(図1b)しかしそれよりはるかにエネルギーが低い励起状態を得ることができるスピン間の交換相互作用のために一つのスピンの反転を全てのスピンに分配して受けもたせるようにすると全スピンが歳差運動しその次々のスピン歳差運動の位相のずれが同じであるので(それぞれのスピンの歳差運動の位相がもちろん違うスピン先が繋いた曲線は波のような形であるので全スピンが歳差運動する励起状態はスピン波と呼ばれる(図2(a)).スピン波のもっとも重要な特徴はスピン波の周波数fとスピン波の波数kであるスピン波の周波数はスピンの歳差運動(図2)の周波数のことですスピン波の波数kはベクトルである.波数kの大きさは次のように定義される: k=2p/llはスピン波の波長である(図2(a))波数kの向きはスピン波が走る向きである.スピン波の波数kはスピン波の波長lとスピン波が走る向きの情報を含んでいるので波長 lより波数kを使ったほうがスピン波を理解しやすいスピン波の周波数fはスピン波の波数kに依存性するのである(f(k)f(k)は分散関係と呼ばれるものである
特別の場合は全スピンが同じ位相で歳差運動し,スピン波の波数はk0となりこれはユニホームモードというスピン波である強磁性共鳴(Ferro Magnetic Resonance (FMR)) の場合にはこのユニホームモードを励起する
スピン波は電波の一類であるけどスピン波が結晶内で伝わるからスピン波の分散関係は空間で伝わる電波の分散関係と異なる空間電波の分散関係はご存知のとうり光速はcとするとf(k)=ckであるスピン波と空電波の周波数は同じであればスピン波の波数はいつも空電波の波数より大きいのであるそうでなければスピン波が空電波より早い速度で伝播できることになる
例として図3で球状の形をした強磁性体の場合のスピン波分散関係を示している普段はスピン波を励起するには外部静磁場が必要となる外部静磁場を掛けないと強磁性体のスピンの向きはばらばになりスピン波を励起するのはできなくなる図3で外部静磁場はH0でしめしているスピン波の波数kと外部静磁場H0の間の角度はqkで示している図3で示しているスピン波の分散関係にいくつかの特徴があるその一つ目の特徴はqk = 0o  qk = 90oの曲線の間はスピン波のバンドである(この曲線の間だけスピン波が存在する)ユニホームモードの周波数はfoで示している (強磁性体の形によってユニホームモード周波数の位置がスピン波バンドの中で変わる)その二つ目の特徴はスピン波の波数kには下層と上流限界がある数字でいうと次のとうりになる
 10 cm-1< k < 108 cm-1 
下層限界はスピン波の波数は空間電波の波数より小さくならないためである例えば,9 GHz の周波数fにすると空間電波の波数は 3 cm-1である:
 k 空間電波=f/c=9109/3109 =3 [s/(cm/s)=cm-1]
それに実際には磁気体の大きさがあるから磁気体で伝播するスピン波の波長は磁気体の大きさより大きくならないので普段は試料の大きさd1 cm程度であるからスピン波の波数の下層限界はkmin=2p/d〜10 cm-1 である
スピン波の波長lはスピン間は格子の原子と原子の間より小さくならないので上流限界は磁気体の格子定数aoと関係がある.例として,実験でもっともよく使われている資料のYIG (イットリウム 鉄 ガーネット) の格子定数ao=12.38 であるので,スピン波の波数の上流限界はkmax= 2p/ao〜108 cm-1 である

updated on September 30, 2000
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