ネオマックス
NEOMAX


 NEOMAXは希土類−鉄系の高性能永久磁石である. ネオジム(Nd),鉄(Fe)およびボロン(B)を主成分とする異方性焼結磁石で, 正方晶構造を持つ金属間化合物Nd2Fe14Bを主相としている.

 NEOMAXが誕生した当時の最強の磁石は, 希土類磁石(サマリウム・コバルト磁石)であった. サマリウム・コバルト磁石は従来の3倍近い磁気エネルギーを持っていたが, サマリウム資源が希少であること,コバルトの価格変動による高コスト化, そして磁気エネルギーが260kJ/m^3(1m^3の磁石の強さ,32.5MGOe) が限界である等の問題点があった. そんな中産声を上げたのがNEOMAXである. 生みの親は佐川真人博士であり,その特許権は住友特殊金属(株)により持たれた.

 豊富な鉄と,サマリウムの5〜25倍の資源量を持つネオジムによるNd-Fe化合物は, キュリー温度が低いこと(586K)がネックだったが, ホウ素を正方晶格子の中に置いたNd-Fe-B三元系の新金属間化合物を見い出すことにより そのネックが解消され,世界最強の永久磁石が誕生した. その組成はNd15Fe77B8で,本質的な特性は最初に挙げた母相であるNd2Fe14Bに依っている.

NEOMAXは,その誕生時にすでに磁気エネルギー300kJ/m^3(37.5MGOe)以上を記録し, サマリウム・コバルト磁石の限界を軽くクリアしていた. 今現在実験室レベルでは431kJ/m^3(54.2MGOe)を達成しており, 量産レベルにおいても374kJ/m^3(47MGOe)と高性能であり, 曲げ強さおよび引張り強さもサマリウム・コバルト磁石に比べ約2倍あり, 加工・取り扱いが容易で,比重も7.4g/cm^3と10%以上も低い. しかしその反面乾燥した室内では長時間放置しても化学的には安定であるが, 高温多湿の環境下では錆を発生する. そのため,その様な環境下で使用する用途には,アルミニウム蒸着や樹脂によるコーティングといった表面処理が欠かせない. NEOMAXは粉末冶金法により,(1)Nd-Fe-B合金の溶解,(2)粉砕(3μm),(3)磁場プレス, (4)焼結(Ar中,1370K),(5)熱処理(Ar中,〜900K)という工程をへて作られる.

 NEOMAXの開発により,100tもあった磁場発生装置が10tと軽量化でき, ハードディスク装置の大きさも5分の1程度,アクセスタイムも3分の1〜5分の1程になり, 医療機器やその他の機器の小型化,高速化そして高性能化が実現した. その用途は,電子スピン共鳴装置やMRI(磁気共鳴画像診断装置), 磁気ディスクのヘッドを駆動させるVCM(ボイスコイルモータ), アンジュレータ等様々である.

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